春の憂鬱

その絵の中には人がいない、

人を描けと教師が言う

人を描けばこれは

わたしの世界ではなくなるのに

教師は生徒の心を壊す

常識という名の外套をまとい

自分は傷つかないようにして

人を描けばこれは

わたしの世界ではない

世界とはわたしの世界

わたしの世界はわたしの世界

人に踏みにじられることのない

わたしの世界

なのにある日突然に

その世界に人の姿があって

母だの、父だの、

おじだの、おばだの、

幼稚園の友達だの

先生だの

近所の人だのが

ずけずけと

わたしの世界に入り込んできて

せっかく芽吹き始めた

柔らかい草を踏みにじる

わたしの世界は

人の吐息のたちこめる

荒野になった

風の気配はどこへ行った

わたしをここに運んできた

風はわたしを置き去りにして

春の向こうへ去って行った

残されたわたしは

踏みにじられた荒野にころがる

砕けた岩のように

こころを頑なにして

息をひそめる

雨よ、雨よ、春の雨よ

わたしの心を潤して

もとの世界に

連れ戻しておくれ

人に踏みにじられたことのない

あの世界へ

なつかしいあの世界へ

教師が近づいてくる前の

あの風景画の世界へ

わたしがわたしであった

あの世界へ。

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: こんにちわ^^

sado jo さん、いつもありがとうございます。

そうですか、いまだ見つかりませんか?

今度はどこに探しにまいりましょう?

こんにちわ^^

まがい物にあらざる原風景を求めてらっしゃいますか~?^^
現代では最も手に入り難い貴重品ですね~♪
はて?何処にあるのやら…もう何十年も探してますが、未だに見つかりません。
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majikanakajima

Author:majikanakajima
やっとみつけた本当のわたし。自分探しはもうおしまい。ずっとまえからここにいる。わたしの名はメランコリー。

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