ゆうべ 不吉な夢を見た

急いでいたので駅のホームに降りた。

そこは真っ暗で人々は黒い群れ。

天上の板を数枚外すと青空が見えた。

足元には酸性の水が流れる。

列車はホームのかなたを走りすぎる。

緑色の車体の先端はロケットのようで

兵士たちが乗っている。

やむおえず地上に戻ると

そこは畑地の向こうに壁のように立ちはだかる岩山。

岩山の中心は赤く、黄色く、青く、緑色に光る

霊性豊かな聖地なのだが

わたしは神とアクセスすることができず

岩山はただの張りぼてのようだ。

       *

馬に乗って岩が転がる砂地を海に向かって降りる。

馬に乗ればこんなに楽だったんだと思うが

馬はよろよろしていてたよりない。

ようよう歩く馬に乗ったまま町にもどり

餌をやっていなかったことに気付いて

一日中飲まず食わずで歩かせてしまったからかと

あわてて農家の八百屋に積んである野菜を

与えようとするがその野菜が傷んでいる。

別の店でニンジンを抜き取ると

馬はもはや立つこともできずうずくまったまま

強引に引っ張るとよろよろと

水たまりへと歩いていく。

食べ物ではなく水だったのかと

いくらか腹立たしい思いで見ていると

馬はゴミの浮かんだ水たまりに頭を突っ込んだまま

動かなくなった。

慌てて引っ張り上げると

馬の頭は中に水が浸み込んだビニール袋。

ああ、これはわたしか・・・・・・。

中身なく息絶える。

ゆうべ 不吉な夢を見た。

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

秋の終わりのメランコリー

夢の中で空にかかる27日月を見た。

記憶を失っていくかの母(ひと)の命はすり減って

すり減ったぶんだけ過去からわたしの記憶が押し寄せる。

日に焼けた麦藁の匂いがして

なつかしくもありえたはずの遠い日々が

古ぼけた本のページのように片隅から零れ落ちていく。

語る言葉を失って

わたしのなかの詩人の魂はやがて新月にさしかかり

闇の中に消えてしまった、

メランコリーの気分だけを残して。






きのうよりやせたね

きのうよりやせたね。

光は痛いくらいに鋭くて
細胞の一つひとつを
輝くしずくで満たしていく。

薄緑色のぶどうのふさのように
生命が蘇る。

繰り返される愚行に蒼ざめた月

殺戮の歴史に疲れ果てた

血を見るのは明らかに
女たちではなく男たちだ。

やせたね、きのうよりもずっと
消えてしまいそうなほどに。

夜半を過ぎても
見つけられなかったから
明け方近くまで眠らずに
待っていたよ。

白みかけた空にか細い光
明けの明星よりも明るく
金色に輝いて「生きよ」という
朝露をいだたく夏草のように。

たとえその根元に
腐敗した土があろうとも。

命の息吹は腐敗を浄化し
緑の大地に連なる。

  ☆

今宵もはや
その姿は見えない。

蘇るために姿を隠す

いつかまた蘇るだろうか。

生命を与え
生命を削り
生命をはぐくむ。

月は女のように蘇る
女は月のように蘇る
はてしなく蘇る
まろやかに。

生命をはぐくむために。

月2 






















堕天使の憂鬱

生まれる前の子どもは

空の上から

誰のところに行こうかと

母になる人をみつけ

その人のもとに行くのだという

美しいおとぎばなし。

善なる人々はそれを

ほんとうのことだと信じているという。

母としたら自分の子どもが

空のかなたからこの母を見つけて

母のもとに来てくれたのだとしたら

胸が痛くなるほどにうれしく

せつなくなるほどにいとおしかろう。

      *

それでは、

幼いわが子を叩いて踏みつけ、

煮えた湯をかけ、放置するような

母とは何か?

善なる人々は言う。

子どもはどんな母でも愛している

いたらない母をたちなおらせたいと

思ってやってくる

それを母が知らないだけだと。

この美しい物語が

ほんとうのことだというなら

それは涙するほどに感動的かもしれない。

    *

ところで、

いったいわたしは誰か

母に虐待された覚えはないが

母のもとに生まれてこようと

選んだ覚えもない。

わたしはただ見ていた

空のかなたから

風になびく川原の草や花を

無数の石の上を流れる水を

わたしは魅せられた

この星の自然の息吹に

そのとたん

わたしは落ちた。

天から落ちて人の胎に入った

そして、人から生まれ

わたしは堕ちた。

これは何かの間違い

母の胎から生まれたわたしは

何かの間違い。

切り離されてここにいる

もといたところから

切り離されて

ここにいる

憂鬱
















夏のメランコリー

昼の日差しをたっぷり吸ったアスファルトから

立ち上る熱気のかすかに生ごみの匂いのする

人気の少ない休日の商店街。

花を買おうと思ってはみたものの

すでに店を閉めてしまった花屋の店先には

砂まじりの埃が漂う灰色の黄昏が

わだかまっているだけ。

暗くなっていく乾いた道筋のかなたから

祭りの準備に集まる人々の打つ太鼓の音が

遠雷のように聞こえてくる。

生きるって、こんなに寂しかったっけ。












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Author:majikanakajima
やっとみつけた本当のわたし。自分探しはもうおしまい。ずっとまえからここにいる。わたしの名はメランコリー。

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